第8章 *愛=嫉妬*
§ 上鳴電気side §
「ふん♪ふふん♪HAHAHA♪」
清々しい朝だ!目覚まし無しで起きられたのはかなり久しぶり。
特に何の行事があるわけでもない普通の日なのに、俺の気分は遠足前の子供だ。
――ガラッ
「おっはよー!」
いつもより数倍元気な声で挨拶をしながら教室へ入ると、もう既に半分ほど揃っているメンバーが挨拶を返す。
「おはよう!上鳴くん、今日は一段と元気じゃないか!」
「おはよう。いつもよりも早いね」
「おはよう」
轟の机に集まって談笑している緑谷と飯田。
「おう、はよ!今日は何か早く目が覚めちまってよ!」
そう言って自然な流れで俺もその机へと向かう。
「おはようございます、上鳴さん」
「八百万、おはよ!」
今は轟の斜め前の席になっている八百万とも挨拶を交わす。
(さあ、残すは後一人…!)
わざと自分の席から少し離れている緑谷達の所に行ったのは実は少し下心があったからだ。
轟の隣の席の「あの子」が挨拶をしてくれるのではないかと。
ちらっと彼女の方を見ると、目が合った。
「おはよう、上鳴くん」
「おう…おはよう!ユイちゃん!」
(きたあああああああああああ!記念すべき初めてのおはようだ!)
俺の下心を秘めた作戦は見事に成功。
俺の好きな子であるユイちゃんと挨拶をすることが出来た。
でも他の奴らとの挨拶とは違う何かを感じる。
「ユイちゃん…どうかした?」
挨拶は交わすことが出来たものの、ユイちゃんは俺に向けて笑ってくれない。もしかして昨日何かしただろうか。あんなにグイグイ行ったのが悪かったのだろうか。
「何が?」
「いや、俺なんかしたかなと思って……」
(思ったことを直ぐ言うから…!俺の馬鹿!)
気になって直ぐに聞いてしまったけれど、これで遠回しに苦手なんて言われたらどうする?俺の青春一日で終了だ。
「やっぱり何でも———————
「あ、ごめんね。怒ってると思った?」
「へ…?」
返ってきたのは謝罪の言葉。