第6章 *雄英*
(とりあえず一番高い建物は……うん、あれかな)
氷の上を滑りながら一本の排気筒に辿り着くと、そこから一気にオールマイトがいるところまで氷の橋のようなものを架けてその上を滑り台のように滑る。
「よ…っと…!」
滑った先はゴール。オールマイトがにかっと笑って仁王立ちで私を見つめていた。
「これは素晴らしい!一位は番狂わせの月城少女!おめでとう!ありがとう!」
…………
「おおお!スゲぇ!」
一瞬の沈黙の後、スタート地点の方からそんな声がうっすらと聞こえてくる。
モニターを見ている待機組だろう。
上「ユイちゃん凄ぇな!」
耳「ゴールまで一気に道作られたら勝てないわ…凄い」
次々とゴールしていく皆に凄い、と言葉を掛けてもらって嬉しくなる。
「ありがとう。でも実際の救助になるとヴィランに氷を破壊されたら危ないからまだまだ課題点は沢山あるよ」
青「君が作った道、見栄えも素敵だね☆僕に負けず劣らず優雅だよ」
切「確かにあれ綺麗だな!ただ氷の塊を出してるだけじゃなくてちゃんと橋の形になってるぜ!」
思えばそこが轟くんと私の違いかもしれない。
今私は『氷ではなく冷気で橋を作った』。氷を出すとどうしても形が自分の思った通りに形成されないことがある。氷という出来上がった個体を出すからだ。
でも冷気を出してそれを凍らせれば目には見えないけれど形を作って凍らせることが出来る。
結局できるのは同じ氷なのだけれど、要は過程の問題だ。
「今のは冷気を出してそれを凍らせたの。私の個性は氷と冷気を出せる個性、絶対零度って言うんだ」
「冷気で直接ヴィランに攻撃して凍らせると氷は出ないから市民が巻き込まれる可能性も低くなるからとてもいい個性だと思うぞ!」
「ありがとうございます、オールマイト」
「よし!次行ってみよう!爆豪少年が早くやらせろという目で睨んできている気がする!」
次は爆豪くん、お茶子ちゃん、百ちゃん、砂籐くん、障子くんの5人。
スタート地点に戻った時に爆豪くんに凄い目で睨まれた。