第6章 *雄英*
「うん、好きな呼び方で呼んで」
切島「じゃあ俺もユイちゃんって呼んでもいいか?」
上鳴「俺も!」
「うん」
(良くねぇよ……)
女子が女子を名前で呼び合うのは分かる。
だが今それに乗っかって名前呼びの権利を持ってしまったのは女子だけじゃない。切島と上鳴もだ。
そうこうしているうちにユイは言ってしまった。
「許可なんて取らなくて大丈夫だから皆好きな呼び方で呼んで」
これによってクラス全員がユイのことを名前で呼ぶ権利を持ってしまった。
自己紹介をしていない、という事で全員がユイに自己紹介を始める。個性を紹介する時間が無いので戦闘訓練で見てもらおうということになった。
「轟焦凍だ。宜しく」
「宜しくね」
赤の他人を装って自己紹介を済ませる。
切島「ほら!爆豪も自己紹介しろよ!」
「あぁん?!自己紹介なんてするか!俺は認めてねえぞ!爆豪勝己だ覚えとけモブ!」
「うっ…うん?」
切島「気にしないでくれ、誰に対してもあんなだ」
「そうなんだ…」
誰がするか、と言いながら罵声に混じって自己紹介をしてしまっている爆豪。ユイもA組のキャラもあってか早くもA組に馴染み始めている。
梅雨「早速だけどユイちゃん、3時間目は戦闘訓練だから移動よ。良かったら一緒に行かない?」
「えっ、いいの?」
梅雨「勿論よ。と言うか女子は移動は皆で行っているの。ヴィラン襲撃もあったから…」
「へぇ…」
──キーンコーンカーンコーン…
切島「良いタイミングで予鈴かよ…しかも英語……死んだ…」
ユイの個性をしらないクラスメイトは、ヒーロー基礎学の時間を一段と楽しみにしながら英語の準備をして席に戻った。