第6章 *雄英*
§ 轟side §
パタパタと早足で席につくユイ。
本当は今すぐにでも話しかけたい。俺の女だと口では言わなくとも周りが察するような態度をとってしまいたい。
でも、朝LINEで約束してしまった。学校に慣れるまではこの関係は出来るだけバレないようにしてほしい、と。
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今日初登校だろ?家まで迎えに行く【轟】
【ユイ】大丈夫だよ!慣れるまでは送ってもらうから
そうか、ならいい【轟】
【ユイ】それとね、私が学校に慣れるまでは付き合ってることは内緒にしててくれないかな
なんでだ【轟】
【ユイ】雄英に転入したのが轟くんを追いかける為だとか思われたくないの。勿論同じ学校に慣れたのは嫌じゃないけど…お願い。
分かった。でもあんまり長いと我慢出来ねぇからな。【轟】
【ユイ】ありがとう
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記号も使わないし「好き」の一言が言えないがために「嫌ではない」と言っている。傍から見れば味気ない会話なのかもしれないがお互いに性格を分かっているからこそ何とも思わなかった。
そして、付き合っていることを伏せる代わりに夏休みは一緒に過ごす、という約束を取り付けてLINEの会話は終わった。
隣にいるのに何も出来ない虚しさを感じている間にSHRが終わってクラスの約束半分がユイの机を囲む。
真っ先にユイに話しかけたのは芦戸だった。
「宜しくね!私芦戸三奈!個性は酸化!」
「あっ…よっ、よろしくお願いします…」
「ユイちゃんって色白くて髪綺麗で可愛くてお人形さんみたいやんなぁ〜!あ、私麗日お茶子!ユイちゃんってよんでもええ?」