第6章 *雄英*
学校に行けばプロヒーローに会える。授業の一環として個別指導してもらえる時もある。
クラスメイトだってすげえ奴ばっかり。普通の高校生が出来ない経験を俺はしている。
でも思うんだよ…
普通の高校生が出来てる事を俺は出来てない!!!!!!
峰田はそんな奴の慣れ果てみたいなもんだよなぁ…
彼女、とは言わない。好きな子が出来て、その子の笑顔を見て癒されて…とか無いのかよ?!
そもそもの話雄英で色恋沙汰なんて聞かない。恋のお悩み相談をされた事もない。
体育祭で女子のチア衣装を見れたのが唯一もの救いだよな本当…
「いってぇっ?!」
頭に走る鋭い痛み。
顔を上げると、そこには鋭い視線でこちらを睨む相澤先生。そしてその手に握られている凶器は健康観察簿。こいつが俺の頭を叩いた張本人だろう。
(今絶対角の方で叩いただろ…)
「何の悩み事で上の空かは知らないが大事な話をすると言っている。しっかり聞いとけ」
「あ、ハイ、スミマセン」
はぁ…とため息をついて教卓に戻っていく相澤先生。
「それじゃあ、気を取り直して今から大事な話の内容を発表する」
先生がいつになく真剣な表情をするものだから、教室内はしん…と静まり返り、俺は今更緊張感を覚えて息を呑んだ。
「今日、この1年A組に転入生が来ている!因みに女子だ」
「「「「「「うおおおおおおおおおお!」」」」」」
轟、爆豪、緑谷、飯田を除いた16人の男子生徒の声が教室中に響き渡る。
女子もキャアキャアと騒ぎ始める。
だが、教室内で一際大きな声を出したのは爆豪だった。
「はあ?!雄英に転校生?!ふざけんな出来るわけねぇだろうが!」
相澤先生相手だと「クソ!」とは言わないのか。
だが爆豪が言っていることも一理ある。
倍率もさながら偏差値79のこの学校に編入出来る人がいるのだろうか。てかいたら受験に受かってる。
「だから…今から説明するから全員席に戻れ」
爆豪も荒ぶりながら席につき、全員が席に戻ったのを確認して相澤先生が喋り始める。
「確かに今まで雄英に転入したきた生徒はいない。だが今回は特例だ。家庭の問題で雄英を受けることは出来なかったが個性も頭脳も雄英に相応しい。文句を言いたい奴もいるとは思うがとりあえず林間合宿まで実力を見てみろ。話はそれからだ」