第4章 *必然的個性*
面構「個人の武力行使…容易に人を殺められる力。本来なら糾弾されてしかるべきこれらが公に認められているのは先人たちがモラルやルールをしっかり遵守してきたからなんだワン。資格未取得者が保護管理者の指示なく個性で危害を加えたこと、例え相手がヒーロー殺しであろうともこれは立派な規則違反だワン」
そんなこと分かってる。規則違反なのも。
それでも…
面構「君たち3人及びプロヒーローエンデヴァー、マニュアル、グラントリノ。この6名には厳正な処分が下されなければならない」
「待ってくださいよ。飯田が動いてなきゃネイティヴさんが殺されてた。緑谷が来なけりゃ2人は殺されてた。誰もヒーロー殺しの出現に気づいてなかったんですよ。規則守って見殺しにするべきだったって!?」
俺のこの考えが間違っているとは思わねぇ。
規則の為に見殺しにしていいなんて微塵も思わねぇ…!
だって
「人を救けるのがヒーローの仕事だろ!」
相手が警察庁署長だということも忘れて俺は俺は目の前の犬面に突っかかった。
グラントリノ「まあ待て。話は最後まで聞け!」
面構「以上が警察としての公式見解。で、処分云々はあくまで公表すればの話だワン」
(……?)
感情任せに動いていた頭が少し冷えてようやく冷静になってくる。
面構「公表すれば世論は君らを褒め称えるだろうが処罰はまぬがれない。一方で汚い話、幸い目撃者は極めて限られている。この違反はここで握り潰せるんだワン。だが君たちの英断と功績も誰にも知られる事はない。どっちがいい?」
今まで散々公式見解とやらを言っていたが実際言いたかったのはこれだったのか。
どっちがいいかと聞かれたところで選択権はほぼ無い、というか決まっているのだが。
面構「大人のズルで君たちが受けていたであろう称賛の声はなくなってしまうが…せめて共に平和を守る人間として ありがとう」
「…最初から言ってくださいよ」
これで誰にも知られることなくヒーロー殺しの話は終わった。だが、面構署長がここに来た理由はまだあった。