第4章 *必然的個性*
§ ユイside §
「昨日はよく眠れましたか?」
「はい。ありがとうございます」
朝一番、看護師さんとたわいのない会話をしながら退院の準備を進める。
部屋の中にはベットが4つあって、その中の3つが埋まっていた。
私の他に、昨日病院で再会することが出来たユウちゃんと心ちゃんがベッドを使っていからだ。心ちゃんはリカバリーガールに傷を治してもらって、大事をとって明日まで入院らしい。
と、隣の大部屋からも楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
轟くんがいる部屋だった。緑谷出久くんと飯田天哉くんも一緒。病院に行く道中で傷だらけの体ながら笑顔で自己紹介をしてきてくれたので覚えている。
(轟くんと話がしたいな…)
1度気持ちが通じあってしまえば、彼の事しか考えられなくなってしまう。それに、まだ昨日のお礼も十分に言えていない。お礼をLINEでするのもあまり気が進まなかった。
(でも今日はきっと友達と帰るよね…2人で話すタイミングがないな…)
どうしようかと考えている時、ガラッと音を立てて轟くんが顔を出した。
「朝から悪りぃ。ユイと話がしたいんだがちょっといいか?」
「あっ!はい!どうぞ!」
朝とは思えない元気すぎる声で答えたのは私ではなく心ちゃんとユウちゃん。
それを聞いた轟くんは一瞬だけ笑って、私の手を引いて部屋を出た。