第4章 *必然的個性*
「いいのか?俺と居ると面倒な事しかない」
だいぶ大きな諸事情を抱えている俺と付き合うということはただでさえ面倒くさいし、相手が雄英の生徒だというだけでも格好の的となるだろう。
そういう関係は秘密にしていてもどこからか情報が漏れて結局は噂となりバレてしまうのがお約束だ。大体付き合ってまでコソコソしたくはない。
「覚悟はできてるよ。それにね……私と一緒にいても面倒だと思うから…」
「ならどっちもどっちだな」
「そうだね」
こんな誰が通るかも分からない所で親父の話をするのは得策とは言えない。
月城もそれを分かっているのだろう。お互いに『何故一緒にいると面倒なのか』は今は聞くことも話すことも無かった。
(今度、出来るだけ早くちゃんと話さねぇとな)
今は話さないと言っても先延ばしにしておく話題ではない。
俺はよく言葉足らずで人から誤解されることがあるが月城は俺の考えを分かっている。
まだ少ししか時間を共にしていないが、一緒にいて楽だった。
「そろそろ帰るか」
「うん…あっ、そうだ…私の友達が先に逃げてて…怪我してる子もいるんだけど見かけなかった…?」
「いや、見てねぇな」
そういえば細い道を俺は通っていた。大通りを通ていれば月城の友達にもあったかもしれない。
一応誰かとすれ違っていないか記憶を探っていると、複数の足音と聞きなれた声が聞こえてきた。
「あっ!いましたよ!轟くん!」
緑谷だ。病院に行くときに一緒だったヒーローたちもいる。
「ヴィランまでいるし…君、さっきのこと反省してる⁈いくら知り合いかもしれなくても一人で向かわないこと!」
流石に二度の単独行動はマズかったか…そう思っていると月城が口を開く。
「すいません…彼には助けていただいただけで…このヴィランを凍らせたのも私です」
「君…もしかしてさっき保護した子の友達?二人組で一人は怪我をしてたけど…」
「そうです…!無事で良かった…その子たちに聞けば私がヴィランを凍らせたことが本当だとわかると思います。罰なら私が受けます」
「どうみても普通の女の子だけど…とりあえず君も病院。顔色が悪い」
こうして先に保護された2人と月城の三人を加えて俺たちはようやく病院に行き、検査を受けた。