第4章 *必然的個性*
「月城...!」
急いで月城の元へと走っていくと、月城はこの前と同じように冷たい体で肩を震わせていた。
「ちょっと待ってろ、今助け──
ユイの体を抱きしめようとしたとき、不意に腕を優しく掴まれる。
「轟…くん…こ…れ…」
絶句している月城。月城の視線はヒーロー殺しと戦った時についた傷があった。
「どうした…の…」
「あまり喋るな、月城。大した傷じゃない」
「大した傷だよ…!氷の中にヴィランがいる。もうすぐ溶けて動けるようになる。だから轟くんは逃げて…」
「俺の個性ならまた凍らせることが出来る」
「無茶だよ…!そんなに大怪我してるのに…」
「大丈夫だ」
「大丈夫じゃないよ!」
震えているが荒ぶっている声。
「こんな事で命を危険に晒しちゃダメだよ…!人生は大切な人に捧げるものなの。こんな私のために危険をおかすことなんてない!」
「なら問題ない。お前を守る」
「いい加減にして…話、聞いてた?!」
初めて怒っているところをみた。これでさえ可愛いと思ってしまう俺は意外とこの短期間で月城の事を好きになりすぎていたらしい。
(ありきたりな伝え方じゃないけど、こういうのもいいかもな)
「だから問題ないって言ったんだ」
「何言って…」
「“ユイ”、俺はお前が好きだ。大切だ。だから問題ない。勝手に守らせてもらう」
「……っ!」
「こいつを片付けてからお前も助けるから、少し待ってろ」
そう言って氷の塊へと目を向けると氷がパリパリと割れ始めていた。
(そろそろだな)
ひと呼吸置いた時、氷が割れて中からヴィランが一直線にこちらに飛び込んでくる。
「どけぇぇえええええ!」
奥にいるユイを狙っているが…
「そんなことはさせねぇ。下っ端のヴィランが俺に勝てると思うな」
すぐに氷を出して再び凍らせた。