第4章 *必然的個性*
とりあえずこの音の元凶を探そう、と思ったがどうやらその必要は無かったらしい。
「轟くん!あれ…!」
緑谷が何かを指さしている。
探す間もなくそれは見つかった。
緑谷の視線の先にはデカい氷の塊があった。
ここから少し離れているのにも関わらず直ぐに見つけられるくらいデカい。
「轟くんが体育祭で出した氷よりと同じくらいの大きさだよあれ……」
「ああ…」
「あれって氷の個性を持ってたら簡単に出せるものなの?」
「どれだけの個性を持ってるかにもよると思うが…あんなデカい氷を出せる奴は少ないと思う」
大体俺だって物心ついた頃から鍛えてきてあれが出せるようになったんだ。どんなに個性に恵まれていても鍛えてもない奴に出せるものじゃねぇだろ…。
いや、ちょっと待て
「一人…いる……」
「え?轟くん、何か言った?」
アイツがここにいるわけないだろ………
でも…氷の個性に恵まれているうえに普段から鍛えている奴なんて一人しか知らない。
「やっぱりヴィランですかね…?でもあんな個性のヴィラン聞いたことも────
「緑谷、あれは多分ヴィランじゃねぇ」
「え?どういうこと?」
「知り合いかもしれねぇ。俺が行くから緑谷は此処で待ってろ」
「でも…!」
「5分だ。5分したらお前達も来てくれ」
それだけ行って氷の元へと走る。
もしユイなら今は個性の暴走が続いているはずだ。
(ようやく好きだと気づいたのに死なすわけにはいかない)
休むこともなく走り続け、トンネルを抜けたその先にいたのは…やはり彼女だった。
「轟…く…ん…」