第4章 *必然的個性*
§ 轟side §
∬Same time∬
「とりあえず君たちを直ぐに病院へ連れていく。みんな出血が酷い」
「はい…」
「全く……ヒーロー殺しに高校生が挑むなんて命知らずすぎるにも程があるよ…」
「すみません…!俺が悪いんです…轟くんと緑谷君は俺を助けに来てくれたたけで!」
「話は後から聞くよ。とりあえず今は病院だ」
隣にはプロヒーローにこっぴどく叱られる飯田。
「だから新幹線で待っていろといったじゃろうが!死んだらどうする!」
「すっ…すみません……」
少し離れたところにも少し年の行ったヒーローに叱られる緑谷。
俺達はついさっきまでヒーロー殺しと呼ばれるヴィランと対峙していた。
戦闘不能のヒーローが一人に、俺、飯田、緑谷がその場にいたが全員無傷とはいかず、勝ちはしたもののかなりの傷を負った。それに対して高校生だけで戦ったことに説教をくらっている。
俺も叱られたが、二人ほどじゃねぇ。
多分、そこにクソ親父がいるせいだろう。
「あの」エンデヴァーの息子さんをあまり強くは叱れない。とかそんな理由か。
まぁ、そのエンデヴァーも俺に何も言ってこないわけだから俺は黙って二人の説教が終わるのを待っていた。
「はぁ…でも、ヒーロー殺しを倒したことについては礼を言おう。本当にありがとう」
ヒーローの説教と礼が終わり、病院へと向かう。
「私は一応見回りをしてこよう。まだヴィランと市民がいるかもしれないからな」
「ありがとうございます。エンデヴァーさん」
歩き始めて少し経ったころ、俺達は奇妙な音に足を止めた。
————ミシミシッ…!
「なんだ⁈ヴィランか⁈」
「え⁈でも襲ってきませんよ⁈しかもなんかこの音前にも聞いたことがあるような……」
緑谷が感じた違和感。
それは俺も一緒だった。というのも……
(俺が氷を出すときの音に似てるな…)
爆発音でもない。何かが地面から出てくる音。
でもバリバリと割れる音もする。
これは氷だ。
氷の個性を持っている俺ならわかっても不思議じゃないが緑谷がこの音を聞いたことがあるといったのは少し驚きだった。
普段から無意識に人の観察でもしてるんだろう。あいつの分析力は観察力からくるものだ。