第4章 *必然的個性*
「……っ…」
体に力が入らない。
寒い。
きっとこの姿を見たらユウちゃんは全て自分のせいだと負い目を感じてしまうんだろうな。そう思ってユウちゃんと一緒に大通りには行かなかった。なんとかユウちゃんには見られずに済んだけど、正直立ってるのもやっとの状態だった。
(どうせ暴走するのは分かってたから誰かが助けに来てくれるように、わざと氷を高くしたけど…)
来てくれるだろうか…。ユウちゃんが助けを呼んできてくれるかもしれないけれど、そもそも誰でもこの個性を止められるわけじゃない。それも分かっていてこんな事をした。
凍死するまでの時間は多分2時間くらいはあると思う。それだけあれば個性無効化のプロヒーローの所へ行けるかもしれない。
(どちらにせよ今の時点で死ぬほど寒いんだけどね…)
今は至る所で火災が発生している。氷が溶ける速度も早い。
出来れば氷が溶ける前に来て欲しいものだ。
(もう少し冷たい氷にすればよかったかな…)
氷が溶けてヴィランが動けるようになっても、また凍らせてしまえばいいだけの話なのだが、それでは私の死が近づいてしまう。
(お願い…誰か早く来て……)
色々と考えているうちに時間が経ち、そろそろ氷が溶けてきてヴィランが自力で割ることが出来るくらいになってきた。
と、このギリギリなタイミングで誰かがトンネルの向こうから走ってくる。
私はその姿を静かに見つめた。
「轟…く…ん…」