第4章 *必然的個性*
4──
(トンネルの外に出たから…大丈夫)
「もう逃げるのはやめたのか?まさか個性で対抗しようなんて思ってないだろうな?」
出来るだけヴィランの言葉は耳に入れないようにして心を落ち着ける。
3──
ユウ「ユイ、やっぱり…」
「大丈夫。何もしなくても死ぬならやったほうが希望はあるでしょ」
2──
大丈夫。コントロールが上手くいけば全部上手くいく。
またこんなところで個性を出して、警察からのお咎めが怖いなぁ……
一度ヴィランに襲われたことがあるせいで前よりも落ち着けてる。
1──
絶対、みんな助ける
──0
「残念だったなぁ!サヨナラだ!」
全速力でこちらに向かって来るヴィラン。
「ふぅ…………はぁっ!」
私はヴィランを凍らせて、そのまま出来るだけ高い氷を作った。
(上手く…いった……)
「ユウちゃん!心ちゃんを担いでトンネルの外まで行ける?」
「あ…うん、一応鍛えてはいるから…」
信じられないとでも言うような目でユウちゃんが私の事を見つめてくる。
「じゃあ心ちゃんを担いでトンネルを抜けて大通りに出て!そうすればきっとヒーローが病院まで連れて行ってくれるはずだから!」
第一、ここまで騒ぎになっていれば救助隊の方からここに来ているはず。
「ユイは…?」
「私は少しだけしないといけないことがあるから後から行くよ…!大丈夫、すぐ行くから!」
ユウちゃんはこういう時先に逃げるなんてことはしない子だと思う。けど、今は心ちゃんをどうにかする事が一番だと理解して、トンネルの先へ早足で歩いて行った。
「絶対にすぐ来てね!」
「うん…」
ユウちゃんが見えなくなっていく。
完全にユウちゃんの姿が見えなくなった時、膝から力が抜けて私はその場に崩れ落ちるようにしゃがみこんだ。