第14章 *自尊心と自嘲*
§ 轟Side §
ユイが起きたと知らせを受けたのは爆豪を警察に送り届けた後。
本当はそれより前に起きていたらしいが俺と連絡が付かなかったそうだ。
(どんな顔して良いのか分かんねぇ…)
爆豪を助ける為とはいえ、ユイを置いて言ったのは事実だ。
上鳴の言ってることが一番正論だって分かってる…だからそこ顔を合わせづらい
面会できるようになったユイの部屋に付くと、ユイは上半身を起こしてただただ遠くを見つめていた。
この部屋から外が見える窓なんてねぇ。
何処を見つめても機会と壁があるだけだ。
ユイ…お前は何処を見てる?
俺に怒ってるんだろうか。悲しんでんだろうか。
それなりに分かったつもりでいたが、この時ばかりはユイを気持ちが分からなかった。
————コンコン。
小さくノックをして部屋に入ると、その瞳はようやく俺を見た。
(まずは謝るべきか)
俺より先に見舞いに来た奴が大体事情は話してんだろう。
そんな事を思いながら息を吸い込む。
そして、謝罪の言葉の述べようとした時……
「助けてくれてありがとね、焦凍」
先に静寂を切り裂いたのはユイだった。
俺とは反対に感謝の言葉を向けて俺に微笑むユイの中から怒りは微塵も感じられない。