第3章 *絶対零度*
「プロヒーローだって弱点はあるしそれを補い合ってヴィランを倒してる。それはお前も例外じゃねぇだろ」
まあ、少し前まで右だけを使って勝つだのなんだのと言っていた俺が言えた事ではないが。
心の中で自分を嘲笑う。
でも月城はそんな事もしらずに俺に礼を言った。
「ありがとう…ちょっとスッキリしたよ」
「ああ」
そんなことをしている間にパトカーは一件の家の前に止まる。
かなりデカい家。
「ココ、お前の家か?」
「そうだよ。あ、その話も含めてお礼がしたいんだけど……明日時間ある…?」
「ああ、大丈夫だ」
「えっと…じゃあ時間は……」
「LINEの方が良いだろ」
「あ、そうだね」
こうして俺は月城とLINEを交換した。
初めて自分からLINEを交換した。気づけばコイツの事をもっと知りたいと思っている。
「じゃあ、また明日ね…轟くん」
「ああ、明日な」
ぎこちないながらも笑って手を振る姿を見て早く明日にならないかと思っている。
(なんだ、これ)
初めての気持ちを抱えながらその日俺は眠りについた。