第3章 *絶対零度*
なんでだろうな。コイツの笑顔を見ると俺もつられて笑いそうになる。
「轟くんの個性は何なの?」
「俺の個性は……【半冷半燃】だ。右で凍らせて左で燃やす」
左の事は言おうか迷ったが言う事にした。お母さんが俺の事を許してくれて、左を使う覚悟が出来たからだ。
「凄い個性だね…そういえば轟くんのことどこかで見たかも……」
「雄英体育祭じゃねぇのか。生中継で放送されてたしな」
「えっ…?雄英体育祭って…もしかして轟くん雄英高校なの!?」
「ああ、そうだ」
「じゃあさっきの保健室は…」
「雄英のだ」
「ええっ!?知らぬ間にすごい所に入ってたんだね…」
凄い所、という理由は
●ヴィランの襲われたことで生徒と教師以外は簡単には入れないように警備が徹底されていること
●有名プロヒーローを数多く輩出している高校
この二つだろうか。
「そっか…じゃあ轟くんもプロヒーローになりたいんだね」
「そうだな。つっても個性を持ってる奴も無個性の奴もヒーローには大体憧れるだろ」
「そうだけど…私もプロヒーローになりたいなって思ってるんだけどね、この体じゃってすぐ諦めに入っちゃうから真っすぐにプロヒーローを目指せてる轟くんは凄いなって思って」
そんなことを思ってる奴もいるんだな。
俺は他人とコミュニケーションを取ろうとしたことはあまり無かったし雄英に入ってからは俺と同じようにプロヒーローを目指してる人しか周りに居なかったから気づかなかった。
でも——————————
「月城はヒーローになれるだろ」
「え…?」
別に確証があったわけじゃねぇ。かと言って情けをかけたわけでもねぇ。
「お前にはヒーローになれるだけの個性がある。それは望んで手に入るものじゃねぇだろ。体が弱くても少しずつ体力を増やしていけばいいだけの話だ」
「でも、個性を制御できなくなったら…」
「俺がくればお前は何とかなるんだろ。イレイザーヘッドもミッドナイトもいる。お前の弱点を塞いでくれるヒーローはたくさんいる」