第14章 *自尊心と自嘲*
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この時相澤は考えた。
月城の個性が暴走している。
月城が連れてきた二人は恐らく毒ガスにやられている。
そうなると、一緒に居たであろう彼女も毒ガスを吸っている可能性があるという事だ。
今は個性の暴走に身体が気を取られていて気絶していないだけ。
個性が落ち着けば次は毒ガスが体に回り、毒ガスの脅威にさらされることだろう。
だが、個性の暴走を止めないと月城の体が凍る。
(俺の個性で月城の個性を消してもいい。だが…リスクが大きい)
自らの意志では無く強制的に個性を無効化する
それは、この状態では体への反動が大きい。
例えば
寝ている時に、突然急降下する感覚に襲われたことはないだろうか。その時体の力が一気に抜けていく感覚にはならないだろうか。
個性も一緒で、個性を急に無効化すると体の力が一気に抜ける。
そして、月城は今個性の暴走によって感覚が麻痺して毒ガスの影響を受けていない…というか"体が気付いていないだけ"
個性が消えれば次は毒ガスが月城を苦しめる。
(俺の個性では月城への身体の負担がデカすぎる。自分で個性を落ち着かせないと危ない)
「ユイちゃん…!」
隣では上鳴がずっと月城の名前を呼ぶが返事が無い。
口から吐かれる白い息が頼みの綱だ。
「辛うじて意識はあるようだが眠ってしまうと危ない。そのまま声を掛け続けろ」
「…っ…はい!」