第12章 *手をかけた扉*
「…………!」
既のところで攻撃を避けるが、視界には青白い光が広がる。
それはかなりギリギリで攻撃を避けた事を意味していた。
(手加減なんて知らねぇ……ってか)
例え相手が高校生だろうと容赦はしない。
ヴィランの中じゃ褒め称えられるべき意識なのかもしれないが今の俺達には何よりも邪魔なもんだ。
それはここにいるヴィラン全員に一致する意識なようで、攻撃を避けた俺の頭上にはまた違うヴィランが間髪入れずに攻撃を繰り出す。
「死柄木の殺せリストにあった顔だ!」
白黒のマスクの男が言った言葉が頭に刺さる。
(殺せ…リスト……?生きて連れ去りたい奴と殺したい奴がいんのか)
どうやら緑谷がその殺せリストに入っていたらしく、緑谷は先程麗日を襲っていたヴィランが詰め寄られている。
障子と緑谷が女のヴィランと、俺がマスクのヴィランと交戦するが傷を付けることは出来ていない。
(クソ…ヴィラン1人でもめんどくせぇのにこうもうじゃうじゃ出てこられたらたまったもんじゃねぇ……)
姿を消していた仮面野郎が姿を現し、ツギハギの男と何やら話をし始めた。
こちらの事など特に警戒していないようだ。
ここからどうやってあの二人を連れ戻す?
まずは目の前のヴィランをどうにかしねぇと……だが倒したところでヴィランはあと3人……そもそも交戦中に逃げられたら意味がねぇ。
万事休す
意味:もう施すべき手段がない。
諦めるつもりは毛頭ないが現実を見ればまさにこの状態。
何をしても多勢に無勢。
(考えろ。何か無いか……好きをついて仮面野郎から2人を救う方法……)
「緑谷、轟!逃げるぞ!」
フル回転する俺の頭を止めたのは障子の声。
「さっきお前が散々見せびらかしたコレが、常闇爆豪だな」
個性の特性もあって、人間よりもデカい指に握られていたのはヴィランが弄んでいたビー玉のようなもの。
(隙をついて盗んだか。流石だ、障子)
これで形勢逆転。どうやって人間の姿に戻すかは分からねぇがとりあえず逃げ切れば俺らの勝ちだ。
だがそう上手くも行かない。