第11章 *林間合宿*
安全を確認したわけでは無いのでまだ安心はできないが人と居れば、もしヴィランと交戦になってもある程度戦える。
(ユイはそこら辺のヴィランよりずっと強い。問題はヴィランとの相性と……個性の暴走だな)
すると、緑谷が何かを思い出したように声を上げた。
「そうだ!さっきヴィランと戦った時にヴィランの目的の1つがかっちゃんって聞いたんだ」
「爆豪?命を狙われているのか?何故?」
俺達は先程のテレパスでそれをもう知っているが、常闇はダークシャドウを鎮めようと必死で聞いていなかったらしい。
(やっぱりマンダレイにこのテレパスを伝えさせたのは緑谷か)
「理由は分からない。でもプロ2名がいる施設が最も安全だと思うんだ」
当の爆豪は何故自分が狙われているのか意味もわからず、ただ口を開けて呆然としている。
「なるほど。これより我々の任は爆豪を送り届けることか」
広場はプッシーキャッツが交戦中でそこを通るのはリスクが伴う。
ヴィランに見つかればまた交戦になるかもしれないし、そこに爆豪が居れば優先順位は当然こちらとなるだろう。
まだ呆けた顔をしている爆豪を除く4人で話し合い、森の中を突っ切ってでも施設まで真っ直ぐに行く事になった。
(そうなるといくら爆豪が戦闘に長けていても交戦はさせたくねぇな……)
「お前中央歩け」
「俺を守るんじゃねぇクソ共!」
一応中央を歩けとは言ったが聞かないのも想定済み。
こんな時に爆豪とわざわざ言い合いをしようなんて者は誰一人居らず、無視して先を進む。
無視をするなだの命令をするなだの文句を言いながら俺の後を付いてくる爆豪。
案外扱いやすいのかもしれない。