第11章 *林間合宿*
(だとしたら……緑谷はマンダレイと合流してんのか?)
少なくとも生きている事を確認して一安心する。
一緒にユイもいるはずだ。プロヒーローの所に居れば少しは安全になる。
「……ッ!」
少し考え事をしていると、直ぐに鋭い切っ先が当たってしまいそうになる。
「チッ……地形と個性の使い方がうめぇ…」
「見るからにザコのヒョロガリのくせしやがって!んのヤろう!」
爆豪もこの森の中では好き勝手に個性を使う事が出来ず、結局不本意にマンダレイの言いつけを守っている。
「ここででけぇ火使って燃え移りでもすりゃ火に囲まれて全員死ぬぞ。わかってんな?」
「喋んな!わ~ってら!」
今にも大爆発を起こしそうな爆豪に忠告をして、自分の左側で辺り一面に氷を張るが、氷壁を突き破り肌のすぐそこまで迫ってくる刃の雨に、ここから前に行く事が出来ない。
刃と化した歯は何メートルにも伸び、攻撃対象であるヴィランは遥か上空で暴れ続ける。
「肉……肉ゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
「近付けねぇクソッ!!最大火力でぶっ飛ばすか!」
「だめだ!」
「木ィ燃えても速攻で氷で覆え!!」
(コイツ…完全に焦ってやがる……)
「爆発はこっちの視界も塞がる。仕留めきれなかったらどうなる?!手数も距離もあっちに分があんだぞ!」
「…………っ…」
ゴォォォォォォォォォン!!!
次の瞬間聞こえてきた轟音は爆豪のものでは無い。
「……氷が見える……交戦中……だ!」
微かに聴こえてくる声と共に、その轟音はこちらへと近づいてきた。
(何だ……?)
ゴォォォォォォォォォン!!!!!
俺と爆豪、そしてヴィランも予期せぬ事態に戸惑いを隠せず、そちらをじっと見つめた。
「爆豪!轟!どちらか頼む、光を!!!」
音と共に見えてきたのは見慣れたクラスメイト、障子だった。
「ウァァァァァァァァァァ!」
ヴィランも障子を見つけ、攻撃するがその攻撃を黒い物体が覆う。
少し離れた所まで爆風が届き、木々が揺れ、葉が揺れる音が耳にすっと入ってくる。
その物体はそのままヴィランを下敷きにして身動きを封じた。