第11章 ＊林間合宿＊

(戦闘許可……！)


プロヒーローから戦闘許可が出た。
これでヴィランに危害を加えても規約違反になる事は無い。

だが……


(コイツ……倒せんのか……？)


弱気になっているわけでは無いしやるからには全力で倒す。
だが、戦闘許可が出たからと言って勝てると言うことでは無い。
実際さっきまで個性を使っての防戦も精一杯だった。


｢オラァ！殺ってやるよ！！｣


爆豪は戦闘許可が出たと同時にヴィランに爆破を仕掛けるが、それも防がれてしまった。


｢おい！単独行動はよせ！｣


｢うっせぇ！俺に命令すんじゃねぇ！｣


連携なんて取れたものじゃない。
だが俺もやるしかない。


｢はっ……！｣


足元から氷を出して攻撃するが、ヴィランは鋭くなった歯を足として宙に浮かんでそれを避けた。

どうやら毒ガスもどんどんこちらに近づいてきているようだ。


(……クソッ…)


すると、どうにか勝ち目は無いかと必死で考える俺の頭に再びテレパスでマンダレイの声が響いた。


「ヴィランの狙いの１つ判明！狙いは生徒のかっちゃん！」


｢あぁ？！｣


(爆豪……？！)


今まさに自分の目の前にいる男の名前が呼ばれ、微かに目を見開く。


｢かっちゃんはなるべく戦闘を避けて！単独では動かないこと！わかった？！かっちゃん！！｣


戦闘を避け、単独行動をするなと言われた本人は眉間にこれでもかというくらい皺を寄せ、血走った目で叫ぶ。


｢かっちゃかっちゃうるせぇんだよ！！頭ン中でよォ！｣


そして早速言いつけを破り、ヴィランに向かって突進しようとするから面倒だ。
爆豪の前に氷を出してヴィランの攻撃を間一髪の所で防いだ。


｢不用意に突っ込むんじゃねぇ！さっきの聞こえてたか？お前狙われてるってよ！｣


｢クソデクが何かしたなオイ…戦えっつったり戦うなっつったりよォ。あぁ？！クッソどうでもいいんだよ！｣


素直に言うことを聞くとか微塵も思っていなかったが、本当に聞かなくなると本格的にどうしようもない。

だが確かにこのテレパスをマンダレイに指示したのは緑谷だ。爆豪の事を"かっちゃん"と呼ぶのは彼だけだ。