第11章 *林間合宿*
「ユイ……」
思わず口から出てきた言葉。
ユイが肝試しに行ったのは一番最後…スタート地点に近づくほど濃くなっている霧に恐怖を覚える。
…恐らくユイはこの霧のど真ん中にいる可能性が高い。一緒に緑谷がいるはずだが、アイツは全力で戦うと確実に大怪我をする。
「……っ!!」
考えているうちにまた刃が飛んできて、次はそれを個性で防ぐ。
自分勝手な理由で爆豪を置いてこの霧の中に行くつもりはねぇ。この場での単独行動は危険だ。
分かっている…だが、心配することくらいは許してほしい。
(無事でいてくれ……)
「チッ…これ以上は……」
このまま攻撃を防ぎ続けても意味が無い。
コイツの個性に限度があるかは知らねぇが、俺と爆豪このまま個性を使い続けると確実に限界が来てしまう。
人一人を背負っている俺の代わりに爆豪が前に出ているが、相当苛立っている。
爆豪とヴィランが睨み合う少しの硬直状態の中、俺の頭の中に声が聞こえてきた。
「みんな聴こえる?!」
(マンダレイか)
テレパシーを使う個性のマンダレイ。特訓中に何度かこの個性を使ってアドバイスを受けた。
しっかりと声が聴こえるように意識を集中させると、頭の中でマンダレイが力強く言った。
「A組B組総員!プロヒーロー、イレイザーヘッドの名に於いて戦闘を許可する!繰り返す!A組B組総員!戦闘を許可する!」