第11章 *林間合宿*
§ 上鳴電気side §
「ユイちゃん!お疲れ!」
夕飯の時間、カレーを作り終えてまず真っ先に向かったのは勿論ユイちゃんの所。しれっと向かいの席に座ることに成功した。
合宿中はもうこの時間しかユイちゃんと話せるチャンスは無い。
何故なら昼間は強化訓練、そして夜は補修がみっちり入っているからだ。
(赤点さえ回避していればもっとユイちゃんと話せたのに…!)
だがもう終わったことを嘆いてもしょうがない。
この時間だけでも俺はユイちゃんと青春する!
「上鳴くん凄い食べるね……お腹壊さないようにね?」
昼間の疲れもあり、無我夢中でカレーを頬張る俺に#ユイちゃんが心配そうな視線を向ける。
「あっ、おう…!心配すんな!ほら、皆だって同じくらい食ってるだろ?」
「大丈夫ならいいんだけど…」
「そういえばユイちゃんずっと走りこんでたよな。あれが特訓なのか?」
「あ…うん。私身体が弱いから体力をつけるために走り込みをしてるの。そうすれば個性を制御出来るようになるから」
「制御?」
制御って何の話だ?
少なくともユイちゃんが雄英に来てから自分の個性でどうにかなってる所を俺は見たことが無い。
俺が少し戸惑ったような顔をするとユイちゃんは慌てたように口を開いた。
「えっと、上鳴くんは個性を使いすぎるとダメなんでしょ?」
「ああ。俺はアホになる」
「それと同じようなものだよ。体力をつければ今よりも強い力を出すことが出来るの」
「へぇ~あれよりもデケェ力が出せんのかよ…」
強個性とは恐ろしいものだ。
轟も爆豪もだが、いつも出している力はほんの半分くらい。
体育祭では二人ともかなりの力を出していた。
それも俺みたいにアホになっちまうから一回きりなんてことも無い。
ま、多分それなりに体に危害はあるんだろうけど。
「A組!そろそろ片付けの時間だ!」
飯田の声が響き、各自席から立って片付けを始める。
隣のB組もそれぞれ片付けを始めていた。
「俺達もそろそろ片付けるか!」
「うん、そうだね」
食器を持って水場まで行くと、そこに一つの影が近づいてきた。