第11章 *林間合宿*
「おそらく先生は全員に同じ課題は与えません。その人に今必要なものを的確に伸ばせる合宿にしてくれるはずです。あまり人に頼りすぎるのも良くありませんがここは先生を信じてみてはいかがでしょう?」
「必要なものか…」
「もし心配でしたら先生に相談してみると良いかもしれません。プロヒーローも協力してくれている合宿ですし何か良いアドバイスが聞けるかもしれませんよ」
今まで閉じこもっていたせいか、人に頼るという選択肢が無かったことに今更ながら気づく。
「ありがとう。相澤先生に相談してみるよ」
特訓場所に移動してから色々と聞いてみようと思っていたが、百ちゃんが言った通り、移動してから直ぐに相澤先生から一人一人に違った特訓が課せられた。
しかも簡潔なアドバイス付き。
「最後に月城」
「はい…!」
先生と話を終えた後、次々と特訓を始める生徒たち。
私は一番最後に呼ばれた。
「さて。お前は個性が暴走してしまうことを生徒には隠しているようだったからな。最後に残したんだが…」
いつもは気だるげな瞳が少しだけ鋭くなってこちらを見つめる。
「お前は自分の弱点、そして伸ばしたい部分はどこだと思う?」
「私は…やっぱり個性を暴走せずに使えるようになりたいです。自分の体が耐えられる許容範囲を広くしたいです」
「その通りだ。お前は個性だけを伸ばしても意味が無い。今持っている個性の全力を出すことが出来ないからだ」
「……はい」
ごもっともだ。皆はデメリットこそあるとは言えども、自分の個性を完全に全力まで出すことが出来るから個性を伸ばしても問題は無い。
だけど私には限度がある。
「そこでだ。お前は一つ勘違いをしていると俺は
考えた」
「勘違いですか?」
「そうだ。個性が暴走してしまうのはただ単に感情が高ぶっているからじゃない」
(どういう事…?)
「お前は体が弱い。だから耐えられないくらいの個性が出てしまう時もあるんだ」
確かにリカバリーガールもずっと前に何かの拍子で限度を超える個性を出してしまう可能性もある、と言っていた。
「確かにデメリットはある。お前の場合自分の個性で自分を凍らせてしまう事だ」
「それは…耐えられないって事では無いんですか?」