第11章 *林間合宿*
「入学からおよそ3か月。様々な経験を経て確かに君らは成長している。だがそれはあくまでも精神面や技術面。あとは多少の体力的な成長がメインで個性そのものは今見た通りでそこまで成長していない。だから今日から君らの個性を伸ばす」
個性自体を伸ばすのは正直かなりしんどいと思う。
体力面などは走り込みを続けたりすればこの年からでも伸ばすことが出来る。
だが個性はこの年になるとほぼ完成されているもの。
子どもの頃のように直ぐに個性が成長するわけでもない。
「死ぬほどキツイがくれぐれも
死なないように!!!」
口の右端を吊り上げた先生の表情は合宿に来てから一番生き生きしていた。
「私に…出来るかな……」
「不安なのですか?大丈夫ですよ。素晴らしい個性をお持ちですし、頑張りましょう」
私の独り言を拾ってくれたのは百ちゃん。
百ちゃんは、私がこの合宿を乗り越えられるか不安に思っていることを察してくれたらしい。
「個性もなんだけど…ほら。私って転入してきたから今までの3か月雄英で過ごしてないでしょ?」
「ええ。確かにそうですわね」
「そうなると、皆がこの3か月で伸ばしてきた精神面が私には無いんだなって思って…」
技術面はそこまで遅れているつもりはない。
確かに雄英はヒーローを育て上げるために特殊な授業も行っている。だけど、それだけで言ったら私も小さい頃から教え込まれているから。
だけど精神面でのトレーニングなんてしていないし、感情が高ぶっただけで個性が暴走してしまうのだから人並み以下のメンタルなのだ。
「そこも問題ないと思いますよ」
「どうして…?」