第11章 *林間合宿*
「でも正直もっとかかると思ってた。私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった!」
(もっとかかると思ってたって言われても…)
「もう夕方なんですけど……」
誰に言うでもない独り言を呟きながら見上げた空は茜色に染まっている。
魔獣の森に入った時はまだ午前中だった。
マンダレイは早ければ12時前後と言ったが、今は明らかに夕方。
それなのに、マンダレイは思ったより早かったと言う。
「いいよ君ら。特にそこ4人!躊躇の無さは経験値によるものかしら?」
ピクシーボブぼ視線の先にいたのは先程先陣を切って戦っていた緑谷くん、飯田くん、爆豪くん、焦凍。
(経験値……?)
そういえば、焦凍と出会った時に飯田くんと緑谷くんもいた。
あの時近くでヴィランによる事件があったとニュースにも出ていたからそこで何かあったのかもしれない。
(爆豪くんは……いろんな意味で経験値積んでそうだしなぁ…ヴィランに真っすぐ向かっていく性格だろうし)
だがそんな事は今気にならない。
空腹すぎて考える事も出来ないのだ。
「バスから荷物を降ろせ。部屋に荷物を運んだら食堂にて夕食。その後入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。さぁ、早くしろ」
「明日から…もっとキツいんだ…」
強化合宿だと理解していても初っ端からこれだと心が少し折れそうになる。
「大丈夫よ。皆実力はあるんだし一緒に頑張りましょう」
「梅雨ちゃん…うん。頑張る」
食堂についてからの夕食の時間はまさに戦いだった。
その後お風呂に入って、一応そこでも峰田くんが何かしようとしてたみたいだけど…マンダレイと一緒に合宿に来ていた光汰くんのお陰で何事もなく済んだ。
友達と一緒に寝るとなると夜更かししてしまうのが恒例行事だけど、部屋に通されてからは直ぐに寝てしまい、慌ただしい合宿一日目は終わった。