第11章 *林間合宿*
峰田くんの前に現れた魔獣を見て、驚き叫ぶ者が半数。声も出ず、口を開けているのが半数。
私は声が出ないほうだ。
と言ってもこの程度で屈するわけではないA組。
振りかざされた大きな手…どちらかと言えば岩だが、その攻撃を受ける者はだれ一人として居なかった。
「静まりなさい獣よ!下がるのです!」
動物を操る個性を持っている甲田くんが叫んでも魔獣は反応しない。
(自力で倒すしかないか……)
岩の様な体つきを見ると、パワー系の個性で体ごと砕いてしまえば何とかなりそうだ。
(でもどの位の強度なのかも分からない…まずはいくつか攻撃をしてから考えるか…)
そんな事を思っていたが、心配は無用だったようで目の前の巨体は粉々に砕け散った。
焦凍が魔獣の足元を凍らせて、飯田くん、緑谷くん、爆豪くんが体を攻撃して破壊するという見事な連係プレー。
羨ましい、と心から思う。私がいない間に築かれた信頼関係はどうしてもあって、爆豪くんも協力しているつもりは無いのだろうが、結果息がピッタリだ。
吹き荒れた爆風と共にさらわれた髪の毛が視界を遮った。
(あぁ……そうだったや……)
急に敵が現れた時、このクラスに段取りを考えて戦う者なんてほぼほぼ居ない。
とりあえず応戦。そんな感じだ。
次々と迫ってくる敵に向かって
爆破
氷結
体当たり
ここは何処の遊園地のアトラクションか。
この魔獣を作り出しているピクシーボブから見ればさぞ楽しい光景だろう。
(私も頑張らないと……!)
ひっきりなしに出てくる魔獣を個性で凍らせると、尾白くんが凍った魔獣を粉々に砕く。
「月城さんナイス!」
「尾白くんも……!ありがとう!」
私が魔獣を凍らせると、次の動作をする前にパワー系の個性を持った生徒が必ず次の攻撃を入れてくれる。
私の個性で倒す事も出来るが、皆が協力してくれる事で効率が格段に良くなって一人一人の負担も減るのだ。
「まだまだ先は長い!気を抜くなよA組!」
飯田くんの声に皆が「おう!」と返事をする。
どこまで続いているのか分からない森のより深くへ、私達は走り出した。