第3章 *絶対零度*
§ ユイside §
さっきから私を鋭い目で見ている轟さん。
ここまで来て助けてくれた轟さんに私の個性について話さないのは少し悪い気がする。
「私の個性は【絶対零度】。氷と冷気を出したり、操ったりする個性で、力の加減によって氷の温度も変わります。個性の名の通り最大で絶対零度の−273℃まで冷やせます」
それだけじゃなくて、意識を集中させれば体だけでなく地表からも氷を出すことが出来る。
それだけ言えば氷系の個性の中では間違いなく最強の個性といえるだろう。
「でも、私はこの個性を……使いこなせません…」
「なんでだ?実戦経験の問題か?」
轟さんの問いに、塚内さんも答えを待つかのように私を見つめる。
「いえ……私は個性を半分しか発揮できないんです」
「私の母が元々体が弱くて、その影響で私も生まれつき体が弱かったんです。だから個性に耐えられる限度も普通の人より低いんです」
なるほど……と塚内さんが頷く。
「それであんなふうになったのか………」
あんなふう、というのは轟さんが私の事を見つけてくれた時の状態だろう。
でも、それも違うのだ。ここからは少し説明が難しい。
すると、そんな私を察してかリカバリーガールがまた助け船を出してくれた。
「それは違うよ。ここは私が説明しよう」