第10章 *Cultivate love (2)*
§ ユイSide §
身体を包むふかふかした感触のお陰か、穏やかな朝が訪れる。
見慣れない天井と見慣れない部屋を見渡して居ると、隣で寝ていた焦凍も身体を起こした。
「焦凍、おはよう」
「あぁ……」
どちらからともなくキスを交わして大きな欠伸をしながら、焦凍に案内されて洗面所へと向かう。
顔を洗うとさっぱりしてようやく目が覚めてきた。
(なんか……足元がやけに涼しい)
違和感を覚えて視線をしたに向けると、私は明らかに自分が持ってきたものではない服を着ていた。
身に纏った白いシャツは膝上くらいまであってサイズ感がかなり大きい。
「ねぇ、これ……」
(もしかしなくても、そうだよね……?)
顔を洗い終わった焦凍に遠回しに聞いてみると、予想どうりの答えが返ってきた。
「俺の服だ」
「やっぱり。なんか焦凍の匂いがする」
ぶかぶかのシャツからは焦凍にくっついた時にする柑橘系の匂いがする。
「ダメだったか?」
「ダメじゃないです」
寝ぼけていない限り嬉しいと素直に言えない自分が少し嫌になったが、焦凍はそれを分かってくれている。
だから変な心配をせずに済む。
「喜んでくれてるとこ悪いがお前はまず風呂に入れ」
焦凍に言われてやっと気づく。そういえば昨日ちゃんとお風呂に入れていない。
「よし、行くか」
焦凍が私を抱っこしてバスルームへと向かい出す。
「えっ、ちょっ……朝からはダメだよ?昨日も入れなかったんだし……」
「分かってる」
(本当に分かってるのかなぁ……)
案の定バスルームに着いた焦凍は私の服を脱がせようとしてきた。
「自分で脱げる」
「本気で言ってんのか?昨日結構激しくしたつもりだったがな」
「激しくした」とストレートに言われて顔が熱くなる。
でも確かに鏡に手を付いていたからか、腕が少し痛い。
「今更どうって事ねぇだろ。早く出掛けたいなら早く風呂入るぞ」
体の至る所が地味に痛む私は素直に焦凍に甘える事にした。