第9章 *Cultivate love*
「ぅ……ぁ…」
どうしてこの人はいつもこうなんだろう。
恥ずかしい事も人を救う言葉もサラッと言うくせに、可愛いとか、似合ってるとかそんな言葉は頬を紅く染めて言う。
全ての感情を閉ざして孤独しか無かった私に幸せを与えてくれる。
焦凍のせいで感情が揺れ動いている時の私は誰がどう見ても真顔なんかじゃないだろう。
時が止まったように思えて、風だけが2人を繋ぐ。
言葉も出てこなくてただ口を金魚のようにパクパクさせていると、足を止めた焦凍が苦笑いでこちらを見つめた。
「置いてくぞ」
(ワンピース……着てきてよかったな)
焦凍に褒められるだけで胸の中がいっぱいになって、私なんかがこんなに幸せで良いのか……と心配になるのだ。
「今……行く」
紅白頭に向かって走り出すと、白いワンピースもそれに合わせてふわりと揺れた。