第9章 *Cultivate love*
ユイが轟とのデートに出掛けて行ったあと、名残惜しげにドアを見つめる2人がいた。
§ Another Story §
「ねえ、メニー。ユイ様、凄く可愛い笑顔だったと思わない?」
「私もそう思う」
私達は、ユイ様が小さい頃からずっとユイ様の隣にいた。
初めて会ったのはユイ様が小学校一年生の頃。
お父様の前ではあまり笑わないけれど、お母様と喋っている時はとても可愛い笑顔をしていたのを良く覚えている。
お母様は私たちに「私がいなくなったらユイを宜しくね」と言って私たちを雇った。
ユイ様とはよくお喋りをして、その時20歳だった私達からすれば可愛い妹のような存在。
メニー「久しぶりにあの顔を見た気がする」
お母様が亡くなってからは、ユイ様は心から笑うことは無くなった。
全く笑わないわけじゃない。でもどこか影があって……でも私達にはどうする事も出来なかった。
お父様の言う通りに……って自分の意見を言うことも無くなってひたすら家で勉強漬けの日々。
「彼氏さんにいつか会ってみたいな〜!ね、スウ!」
「そうだね。お礼も言いたい」
いくら妹のようだと言っても私たちは対等な関係ではない。
ユイ様はあまり様付けを気に入ってないみたいどけど、呼び捨てには出来ない。
そんな所でどうしようもない壁があったのかもしれない。
でもユイ様は雄英高校に編入してからよく笑うようになった。とても久しぶりに見る心からの笑顔。
メニー「きっと何かあったんだろうって思ってたけどまさか彼氏だったとはね……」
その相手は轟焦凍くんというらしい。
雄英体育祭で2位と言っていたから顔を見ればもしかしたら分かるかもしれない。
いつかきっと会える日が来るだろう。
その時はユイ様の事を沢山教えてあげたい。そして、支えになってあげてほしい。
スウ「さ、仕事に戻ろう!」
ユイ様の心を明るく照らしてくれた轟くんとユイ様の幸せを願いながら、私達は仕事に戻った。