第8章 *愛=嫉妬*
彼女がいると言ってしまったことも気になるけれど、そこは一旦保留にしておこう。
「怒って…無かった?」
「…?なんで怒るんだ?」
「だって急に泊まりに来たりして……」
「それは大丈夫だ。今度自分にも見せるって約束したらむしろ機嫌良くなってたな」
「良かった……」
優しいお姉さんで本当に良かった。
さりげなく会う約束をされているし、その時に昨日の事は謝ろう。
登校中から頭をフル稼働させ、学校に着くと、いつもより沢山の生徒が席に座っていた。
私達の登校時間が普段に比べて10分ほど遅れたからである。
「おはよ……あれ、今日轟と登校?」
げっそりした顔の三奈ちゃんが、教室に入った私達を出迎える。
(話に夢中で忘れてたけど一緒に登校してたんだった……)
焦る私の横で、焦凍は至って冷静だった。
「登校中にたまたま会ってな。昨日の試験の事話してた」
「あ〜…2人ペアだったもんね……私は…もう……」
段々声のトーンが下がっていき、泣きそうな顔をする。
気付けばその後ろにも同じ空気を纏った人影が3つ。
「皆…合宿の土産話楽しみに……してるからっ…!」
その4人は三奈ちゃん、上鳴くん、砂藤くん、切島くんだ。
共通点は……昨日の演習試験で残念ながら条件達成出来なかったという事。
「予鈴が鳴ったら席に着け」
シーーーーーーーーン………………
相澤先生が来たと同時に教室に静寂が訪れる。
聞こえてくるのは4人分の啜り泣きだけ。
「今回の期末テストだが残念ながら赤点が出た。したがって……」
啜り泣きの声がだんだん大きくなっていく。
「全員行きます!」
「どんでん返しだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
啜り泣きは一転して歓喜の声へと姿を変える。
「ただ、赤点は赤点だ。お前らには別途に補修時間を設けてる。ぶっちゃけ学校に残っての補習よりキツいからな」
そして次は声も出なくなった。
赤点は筆記では該当者無し。
だが、実技で条件達成をする事が出来なかった先程の4人が赤点。
そして、ミッドナイト先生に瞬殺されてしまった瀬呂くんも赤点だった。