第8章 *愛=嫉妬*
「明日休みだしA組みんなで買い物行こうよ!」
場の雰囲気を変えるように、透ちゃんが明るい声を上げる。
「轟くんも行かない?」
「休日は見舞いだ」
女子だけでなく男子も皆で行くようで、緑谷くんが焦凍に声を掛けていた。
「ユイさんもご一緒にどうですか?」
「うーん…明日はどうしても外せない用事があるの。ごめんね、百ちゃん」
「そうでしたか……ではまた今度お出掛けしましょう」
「うん」
その用事と言うのも、朝決まった急用。
でも、私にとっては今から凄く緊張するほど大事な用事だ。
登校中、焦凍のお姉さんから電話がかかってきた。
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「焦凍、今お母さんの所に来てるんだけどね…焦凍明日お見舞い行くでしょ?是非彼女さんとお見舞いに行ってくれない?」
「話したのか」
「焦凍の彼女なんて今まで聞いたこと無かったし私も何だか嬉しくてつい口滑らしちゃって…もしかして言っちゃまずかった?」
「いや…お母さんになら問題ない」
「よかった。それでね、お母さん自分から会いたいとは言わなかったんだけど、凄い嬉しそうでソワソワしてたから、きっと会いたいんだと思う」
「分かった。ユイに相談しておく」
「ユイさんって言うのね!今度私にも紹介して!それじゃ!」
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と…こんな感じの会話があったらしく、明日焦凍と一緒に焦凍のお母さんのお見舞いに行くことになっていたのだ。
A組の皆とも仲良くなりたいけど、これをキャンセルする事は出来ない。
何よりも、焦凍のご家族に会えるのは本当に嬉しい。
私は、緊張と待ち遠しさを胸に抱えてその日一日を過ごした。