第3章 *絶対零度*
「起きたのか」
「あっ…はい。助けてくれて本当にありがとうございます。お名前は…?」
「轟焦凍だ。それより——————
目の前の…轟さん?が私に何か言いかけた時、また違う男の人が部屋に入って来た。
「起きてすぐのところごめんね。警察庁の塚内直正です。少し話を聞いても大丈夫かな…?」
「はい。大丈夫です」
「リカバリーガールと轟くんにも一緒に居てほしい」
こうして、私を含めて四人の事情聴取が始まった。
「まずは君の名前を教えて欲しい」
「月城ユイです」
その後親の電話番号やどんな個性を持ったヴィランにどうやって襲われたかなどの経緯を聞かれた。
「なるほど……学校の帰り道に気分が悪くなって路地の入口のとこで休んでいたところを襲われたんだね?」
「はい……」
「襲ってきたヴィランは一人?」
「はい、そうです。地形を操る個性だと思います。手にはナイフを持ってました」
「氷を操る個性を持つヴィランは見なかった?」
「いえ…見てません」
ああ、やっぱりこの話になるのか
「君を助けてくれた轟くんによるとヴィランは一人だけだったらしいんだけど凍らされていたと言っている。君も凍死の寸前に見えたと聞いた。だとすればあと一人ヴィランが現れたと考えたほうが妥当なんだ」
うん…まあそうなるよね。
ここまで大事にしてしまっては隠すことはできないだろう。
私は意を決して口を開いた。
「それ、私の個性です」