第3章 *絶対零度*
§ ユイside §
「んっ……」
背中に感じる柔らかな感触。
此処が死後の世界…?
でも…それにしては…
「ベッドに似てる……」
「そりゃここはベッドだからね」
私の疑問に答える知らない声。
ゆっくりと目を開けるとそこのは見慣れない天井がある。
起き上がってみるとカーテンを開けて入ってくるやさしそうな顔をしたおばあちゃんと、いかにも保健室というような部屋。
(そっか…ここはどこかの学校の保健室のベッドの上)
ってことは……
頭の中に小さな疑問がまた一つ。
「あの…もしかして私、生きてます…?」
「ああ、生きてるよ。此処に来たときは気を失っていたけどもう顔色も良いし大丈夫そうだね」
そっか…生きてたんだ。絶対に死んだと思ったけどな…
「ありがとうございます……えっと…」
「ああ、私の事はリカバリーガールとお呼び」
リカバリーガールと名乗ったおばあちゃんは温かいお茶を持ってきてくれる。
そういえば……
「リカバリーガールがここまで連れてきてくれたんですか…?」
助けを求めた私に反応したのは確か男の人の声だったような気がする。それと……かろうじて見えたのは赤と白の二色の…髪…?
「ここに連れてきたのはアタシじゃないよ」
どうやらここへ運んでくれた人は他にいて、私はここに来る途中で意識を失ってしまったらしい。
「そろそろ戻ってくる頃だとは思うけど……その前に少しあんたも話を聞かれるかもしれないね」
「話…ですか…?」
「ああ、あんたのことを襲ったヴィランについて話が聞きたいと警察が来ているよ」
ああ、そっか。
ヴィランに襲われたんだからそりゃあ警察もくるか。
どうにか数時間前の出来事を鮮明に思い出そうとしていると…
————ガラッ
保健室の扉が開かれ、左と右に違う色の髪と目を持った綺麗な男性が現れた。