第8章 *愛=嫉妬*
オールマイトは爆風を起こしながら飛び上がり、緑谷くんに自分の体をぶつける。
「……っ…」
自分がこの攻撃をもし受けていたらと思うと、恐ろしくて薄目になってしまう。
ただでさえオールマイトの体は大きい。体重もそれなりにあるのに、今はおもりの重さまで加算されてぶつかるだけでもかなりの衝撃だろう。
オールマイトの視界を遮るように爆豪くんが爆発を起こした。
額からは大量の汗をかいていて、表情も今までに見たことも無いくらい焦っている。
「爆豪……篭手無しで最大火力とか無茶しすぎだろ…」
爆豪くんの友達である切島くんも悲痛な表情を浮かべる。
個性は強ければ強いほど反動やデメリットも大きい。強い個性が自分の身を滅ぼしてしまうことだってある。
爆豪くんもこれだけ強い爆発を起こし続けていれば、かなりのダメージを受けていることになるのだ。
緑谷くんが早くゲートをくぐらないと爆豪くんがもっとボロボロになってしまう。
早く終わらせて欲しい。心からそう思った。
終わりの時間は刻々迫ってくる。気絶寸前の爆豪くんの顔をオールマイトが鷲掴みにした。
SMASH!!
そんな爆豪くんを救ったのはまたしても緑谷くんだった。
オールマイトの頬を殴り、その腕は爆豪くんの体へと回される。
オールマイトも倒れてはいないものの、態勢を崩し、その場に跪いていた。
緑谷くんに抱えられている爆豪くんの反応は無い。
緑谷くんもボロボロの体でひたすら走った。
そして────
「緑谷・爆豪チーム条件達成!」
私達の試験とは対称に、とても長かった試験は緑谷くんと爆豪くんの勝利で幕を閉じた。
「心臓に悪い……」
まず最初に出てきたのは安堵だった。
この様子だと2人ともリカバリーガール行き決定だ。
でも、無事に合格することが出来て良かった…とそう思った。
「爆豪には絶対言えねぇけどさ……あの二人、作戦さえ立てれば意外と息合ってたな」
「ああ」
切島くんの言葉に焦凍も同意する。
多分爆豪くんがこの試験で1番変わったと思うけれど、みんなそれぞれ自分の課題と向き合って、前に進めた期末試験だった。