第8章 *愛=嫉妬*
「緑谷ちゃん…今の手加減してないわね」
「ええ…痛そうでしたわ……」
「何か考えがあるんかなぁ…?」
オールマイトが辺りを見渡しているが二人が出てくる様子はない。
「協力してると良いんだがな。あの二人なら口論になってオールマイトに見つかりかねない」
「うん…」
(協力してると良いなんて…焦凍も案外二人の事気にかけてるんだ…)
戦っていない間は妙な緊張感がある。
先に動き出したのは爆豪くんだった。
オールマイトの背後から奇襲をしかけて爆発を起こす。
だが、振り返ったオールマイトが倒れることは無かった。
(また爆豪くんの単体行動…ん…?)
爆豪くんは次の攻撃をせずに上へ飛びあがる。
次の攻撃は爆豪くんでは無かったのだ。
爆豪くんの視線の先には、爆豪くんが両手に付けている篭手の片方付けている緑谷くん。
緑谷くんはオールマイトに向かって爆発を起こした。
緑谷くんの爆発は物凄い爆風を生み、爆発を起こした本人でさえ飛ばされてしまう程だった。二人はゲートに向かって走り、残されたオールマイトは…
「ほとんど…ダメージ受けてない…」
ここからでも分かるくらい凄かった。
確かに真面に食らってたはず。なのに目立つ傷は一つもなく、瞬きをして目を開けた時その体は消えていた。
そして、次に現れるのはあの二人の隣。
ようやく二人が隣に並ぶことが出来ているのにールマイトは二人の間に入り込み、篭手を簡単に壊してしまった。
2人は地面に叩きつけられる。
だけど、爆豪くんは諦めなかった。
今は最強のヴィランであるオールマイトの足に踏まれて、こんなにボロボロになっているのに、また爆発を起こして緑谷くんを空中へ投げ出したのだ。
(緑谷くんだけゲートをくぐさせようとしてる…?!)
プライドの塊で、協力するのも嫌がっていた爆豪くんが自分を犠牲にしてでもオールマイトに勝とうとしている。
爆豪くんの中で何かが変わっているのを私は感じた。