第8章 *愛=嫉妬*
§ 上鳴電気side §
「次はユイちゃんと轟か!」
モニタールームに入ると、そこではユイちゃんの試験が始まろうとしていた。
(校長…地味にクソ強かったぜ……)
俺は根津校長と対戦してタイムアップでリタイア。
自分がやったからこそ分かる。先生は思ってるよりも強い。
(頑張れよ…!ユイちゃん、轟!)
「月城・轟チーム演習試験レディ・ゴー!」
*。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+**。°○.:+*
「月城・轟チーム条件達成!」
(終わ…った………?)
試験はすぐに終わった。
どっちが圧倒的に強かったわけではない。
結論だけ言うとユイちゃんと轟がゲートをくぐって条件達成だ。
(息ぴったりだったな……)
終始速すぎてついていけなかったが、最後の展開だけはかろうじて見えた。
(ユイちゃんがセメントを凍らせて…轟が氷で壁を作って…)
自分で言いながらも意味が分からない。
あんなクソでけぇセメントを一瞬で凍らせる程の冷気って強すぎだろ…轟もあんな簡単に氷で壁作っちまうのかよ…
轟は体育祭と八百万との演習試験の時にも氷で壁を作っていたが何回見ても慣れない。
「アイツら…連携もすげぇしもしかしたらクラス一のチートコンビじゃね…?」
と切島が声を上げる。
確かにそうかもしれない。個性だけで言えば緑谷と爆豪も良いコンビだが仲が悪い、連携が出来ない。
幼馴染なのだから爆豪がやる気になれば連携も出来る気がするけど、爆豪にそのつもりは無い。
モニターの中では試験を終えた3人が何やら話し込んでいた。
(こっからじゃ音声が遮断されてるから何話してんのか分かんねぇな…)
俺が話の内容を気にしている横で切島と砂藤は次こそは!と意気込んでいる。
「クッソ!俺達はやっぱ作戦不足だったか…次のテストがあれば頑張ろうな!砂藤!」
「おう!」
1度自分たちの試験を見ているからとかズルいとかそういう事は一切言わず、純粋に悔しがり、その上であの二人を褒めている。
このクラスは本当にこういう所はヒーロー思考だとつくづく思う。
ユイちゃんと轟が会場を後にしてしばらくすると、画面が切り替わった。