第8章 *愛=嫉妬*
「どうしてどう思ったんですか」
焦凍の問いかけに、セメントス先生は普段はあまり笑みを浮かべない顔を歪め、微笑んだ。
「ただの友達にしては息がぴったりすぎる。似ている個性を持っていたとしても相手の事を全く考えずに息を合わせている。それはこの短期間でできるものじゃないと思っただけだよ」
(相手の事を考えずに息を合わせてる…って普通に見て分かるものなのかな…)
「まだこの事は誰にも言っていないので…後々言うつもりではあるんですけど…」
誰かにバレるとは思っていたがまさか一人目が教師だなんて思ってもいなかった。口止めを頼むのも少し気が引けてしまう。
「大丈夫だよ、誰にも言わない」
「ありがとうございます…」
「そろそろ最後の試験が始まるよ。君たちもモニタールームで見てきなさい。きっと皆集まっているだろうからね」
「はい」
時間を見ると試験開始五分前。
急いでモニタールームに行こうと試験会場を出ると、やはりモニタールームに行っているのか外には誰もいなかった。
最後の試験は緑谷くん・爆豪くんチーム対あのオールマイト。
(私だって見たい…見たいけど…)
私は、隣で歩幅を合わせて歩いてくれている焦凍の首に手を回して抱きついた。