第8章 *愛=嫉妬*
「最後の”あれ”は作戦かな?」
「はい。これしかないと思って……」
最後の作戦…それは、セメントス先生の個性を私が凍結させて、その隙に焦凍が大氷壁を作って先生との間に壁を作ってしまうことだった。そうすれば視界も遮られ、相手の行く手を阻む壁は作れない。
だけど、個性で氷壁を壊されてしまえば意味が無い。先生が壁を壊して再び視界に私たちを捉えるまでにゲートをくぐる必要があった。
この時、先生はちょうどゲートの近くにいたのだ。だから勝てた。
「二人の素晴らしい連携プレーだったよ。でも、それなら最初から壁が構築される前に凍らせれば良かったのでは?」
「そうすると先生が私たちの視界を壁で遮ってゲート前に壁を作られてしまう危険があったので……」
「なるほど。1度見てしまえば対策が立てられるからね」
セメントス先生は納得したように頷き、私たち二人をまじまじと見つめてきた。その表情はニヤニヤしているようにも見える。
「あの…何かついてます…?」
「そういえば今時の高校生は名前で呼びあったりするものなのかと思ってね」
ギクッ……
そういえば試験の時は気付かなかったけれど、試験の時、私達はお互いを名前で呼びあっていた。
普段は付き合っていることを隠しているため、名字で呼びあっている。
「試験中も思ってたんだけど……もしかしてそういう関係なのかな?」
ギクギクギクッ……
やばい…先生意外と鋭い…
普段名字で呼びあっていた男女が急に名前で呼びあったりしたら誰でも勘づいてしまうものだろうか。
違います、と言おうとした時、焦凍が徐に口を開いた。
「はい、そうです」
(ちょっと焦凍…?!焦凍くん?!)
内緒って言ったのに何故こんなにもあっさり認めてしまうのか。
確かにここで否定をしても苦しい言い訳にしか聞こえないかもしれないけれど焦凍はそんなこと考えていないように見える。