第8章 *愛=嫉妬*
§ ユイside §
「月城・轟チーム演習試験レディ・ゴー!」
試験開始と同時に私と焦凍はそれぞれ左右に分かれながら全速力で走る。
私たちの作戦その1。それは簡単に言うと戦わずに逃げきることだ。
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「セメントス先生に真っ向から仕掛けても勝てない。俺はその理由でセメントス先生が俺達の相手になってるんだと思う」
「氷で攻撃が出来ないって事?」
「そうだ。俺は主に氷を出すことで相手に攻撃を仕掛けて相手を凍らせたりする。けどセメントス先生なら個性で壁を作り上げれば自分の所に氷はそう簡単には届かない。炎も一緒だ」
「戦っても防がれてしまう…ってことは逃げてゲートをくぐるしかないよね」
「そうだ。だから俺たちの目標はセメントス先生にハンドカフスをかけることじゃない。ゲートをくぐる事だ」
「分かった」
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セメントス先生の弱点は動きが鈍いこと。
今はおもりの影響で更に機動力は落ちている。
今自分たちが先生よりも勝っているものは機動力、ただそれだけだ。だからこそ、それを上手く使わなければ。
きっと先生は殆どその場から動かない。動かずに個性を使ってくるはず。
「っ…来た…!」
予想通り、先生は個性で幾つもの壁を作って私たちの行く手を阻む。
ここは壁を壊すことはせず、近くにある建物の上へと避難した。
作戦その2。時間をかけずに早期決着を狙う。
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「セメントス先生の個性は時間が経てば経つほど相手を追い詰めていく個性だと思う。壁を壊して進めば前に進めない…でも壊さなければ四方八方から壁が出てきて個性に呑み込まれる」
「確かに…切島達もセメントに飲み込まれて気絶してたな」
「うん。だから早めに決着をつけた方がいいと思う」
「具体的にはどうする」
「まず最初に攻撃を仕掛けられたら建物の上に避難して、そのまま建物の上を移動してそのままゲートを目指す」
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