第8章 *愛=嫉妬*
「焦凍って私の事何でも分かるよね」
「そんな顔してたら気付く」
「他の人は誰も気付かなかったみたいだけど?」
「他の奴らと一緒にすんな。俺はお前の彼氏だ」
「そうだね…」
「で、何があった?」
「………」
何かあったことを隠すつもりはもう無いようだが、それ以上は何も言わない。
「悪りぃ…言ってくれねぇと守ってやれねぇ。何があったんだ…?」
頑なに理由を言わないユイの態度に心配になって来る。
俺のせいで何かに巻き込まれてるんじゃないか、と。
「ごめん…そんなに大したことじゃないから」
「なら話せるだろ」
「それは………わかった。話すけど、今は言わない。試験が終わった後にちゃんと話す。だから今は何も聞かないで…?」
「………分かった」
今理由を聞きたい気持ちを抑えてここはその条件で了承する。
「勝手に変な態度取っておいてこんなこと言ってごめんね…」
「別に良い。その代わり、後でちゃんと話せよ」
「うん。今は試験に集中しよう?相手はセメントス先生だし作戦会議しなきゃ」
ユイが何かしらの不安を抱えていることは分かった。
だから今は出来るだけコイツを癒してあげたい。
「ユイ、こっち来い」
壁際で手招きをすると、ユイは素直に近づいてくる。
そのまま壁に背を預け、ユイの肩を押して座り込み、後ろから抱きしめた。
「作戦会議、するんだろ」
「うん、する」
ユイの髪が俺の頬を掠め、ユイの香りを運んでくる。
ユイの肩に顎を乗せると、後ろからだとよく見えなかったが、ユイは今度こそ、嬉しそうに小さく笑った気がした。