第1章 気づいてしまいました。(ヒデタダ)
『っひ、ヒデタダさんどうしたんですか?』
「あなた最近、私のことを避けてますね」
『...』
「何があったのかは知りません、ですが...私が貴方を心配している気持ちを、汲んでもらえませんか。」
途端、涙が溢れ出た。
ヒデタダさんがそれに気づいて、腕をより強く抱いた。頬をつたって、ぼたぼたと落ちていく涙をうまく止められないままいると、ヒデタダさんが耳元で優しく語りかけてくる。
「マスター殿...いえ、リシェ殿。...貴方は私たち貴銃士とは違います。死んだとしても銃に戻ってしまうだけの私たちと命の重さが違う。そんな顔で戦っていては、取り返しがつかないことになりそうです。」
『、ごめ、なさい』
「謝ってほしい訳ではありませんよ...きちんと話してください。私に、何か言わなければいけないことがあるのでは?」
『...ッ!』
「聞かせてください、貴方の、リシェ殿の言葉を」
『ヒデタダさんが、すき、です』
「...私も、貴方を好いていますよ。リシェ殿」
身体に回っていた腕の力がゆるくなる。涙が止まった頬をぬぐっていると、突然、ヒデタダさんに向き直された。そういえばヒデタダさんの顔を真正面から見るのは久しぶりで、ドキドキしていると、不意にヒデタダさんが愛用のメガネを外した。
『!』
「...ん」
『っはぁ...っ、ヒデタダさん』
「貴方が可愛い顔するものですから、つい」
重なった唇に、甘い台詞。キャパシティを超えた私の脳も体も、蕩かされて蒸発してしまいそうだった。