第12章 藍色の糸 拾弐
相手は宝禄火矢を結に向って投げた。
結は素早く後ろへ下がったが、あの一本の柳の木が壁になってしまい、後ろへと下がれなくなってしまった。
爆破が起こる。幸いにもすぐ近くで爆破はしなず、怪我はしなかった。
すぐさま柳から離れようとした瞬間、もくもくと白い煙が騰がる中からあの忍者が現れた。
そして忍者は懐から苦無を出し、結の中心に、刺した。
結「がはっ…!!」
苦無を引抜くと結は力なくその場に崩れた。
忍者は苦無を崖に向って投げ、その場を立ち去って行った。
どくどくと血が大量に地面に流れ、血の海をつくってゆく。
朦朧とする意識の中で結は起き上がり、柳の木にもたれかかった。
傷口を抑えても血は止まる気配がない。
自分は死ぬのか。短い人生だった。
ゆっくり瞼を閉じる。
暗い闇の中に浮かんだのは、あの五人だった。
嗚呼、もう皆とは逢えないんだ。
そう思うと何故か凄く哀しくなった。
親が立派な忍者になれと無理矢理入った忍術学園。
別に忍者何てなりたくないし、興味がない。
だが、五人と出逢い。毎日が楽しくなった。
先輩達や先生、下級生達とも仲良くなりそして、皆と一緒に忍者になる事を誓った。
結「嫌だ… 死にたくない…! またみん…なと……」
意識が限界に達してきた。
自分は強く願った。
また皆と逢いたい。
逢って一緒に過ごしたい。
「生まれ変わって皆と、逢いたい…」