第12章 藍色の糸 拾弐
逃げてる途中、忍術学園が見えた。 先生に助けを求めようと考えたが 中には下級生がいる。しかも敵忍者を連れて来たら大騒ぎだ。危険すぎる。
一人くらいまいて逃げれる、自分も五年だが立派な忍者だ。
結は忍術学園に入らず、裏山へと続く道へ逃げた。
時折、隠し持っていた手裏剣を投げるが避けられてしまう。
宛もなく山の中を走ってゆくと、ひらけた場所に出てしまった。
野原の真ん中には一本の柳の木が立っている。
ここの場所は何回も来た事がある。柳の向こうは崖になっていて真っ直ぐには進めない。
何やっているんだ自分は と、心の中で叱った。でも忍者は追ってくる。
仕方無い、ここで戦うしかない。結は隠し持っていた短刀を出した。 戦う振りをしてまた逃げようと考えた。
自分の命が危ないと思ったら仕方ないが、出来るだけ人に傷つけないように慎重に戦う事にした。
忍者が結に追いつき、手裏剣を投げてくる。それをよけながら慎重に相手の隙を探す。
相手が投げる手裏剣を短刀で受けながら逃げる。相手は大人の忍者、そう簡単には隙をみせない。
あの時、皆を呼び止めれば良かった?先生に助けを求めれば良かった?
だけど、誰にも迷惑をかけたくない。 大丈夫、終わったら皆の所に戻るんだ。
だが、私は慎重になり過ぎて反対に相手に隙をみせてしまった。