第12章 藍色の糸 拾弐
あの夏祭りの日。 結達は近くの神社へ遊びに行った。
今と変わらず人が多くて困った。竹谷の案で歩いても歩きづらい。
結は思い付く。
皆の小指にあの藍色の糸を結んだ。
どや顔したら皆に笑われたが、雷蔵に「ありがとう」と頭を撫でてくれて凄く嬉しかった。
仕方なくそのままで神社に向かってみた。
その時、結のだけ糸が取れてしまった。しっかり結んだ筈なのに。
雷蔵達は気付かず歩く。待ってと、声を掛けようとしたら 後ろに気配を感じた。
気配を感じる方へ見ると、一人の忍者が結に向って手裏剣を投げてきた。
自分が避けると人に当たってしまう。 結は素早く近くに有った木を掴み、手裏剣を受け止めた。
そして、忍者を神社から出すために走った。忍者が自分について来ると分かっていた。何故ならその忍者は前、忍術の授業の一貫として城を襲った時、そこにいた忍者だったのだ。
ただ授業の内容としては誰にも見つからないように殿様に手紙を出す。と言う授業で別に襲う事をしないのだが、 結は誤って一人の忍者に見つかってしまい、怪我を負わせた。
結の家系は剣豪一家の為、刀は持ち歩いていないが、服の中に短刀を入れている。
当然相手は攻撃をしてくる。 結は短刀の他に手裏剣を持っているが、咄嗟に短刀を抜き、相手を斬りつけた。
殺すつもりはないため、腕に軽く斬りつけそして相手が怯んだ隙に逃げたのだ。
その時の屈辱か復讐か分からないが、確かにその時の忍者が結を襲っていた。