第11章 藍色の糸 拾壱
記憶が無理矢理流れる中、結は学園に行く道を走った。
学園に着いたかと思うと、足は止まらず裏山へと続く道を走った。
思い出す。あの時もここの道を走った。
逃げて逃げて。
走ってゆくと、広い野原に出た。
広い草原には一歩だけ立っている柳の木があり、そこまで走るとようやく止まった。
そして、その場に崩れた。
兵助「はぁ…はぁ… 結ちゃん?」
三郎「結、思い出しただろ 私たちの事」
俯いたままこくんと、頷いた。
竹谷「本当か!?」
雷蔵「結ちゃん… 思い出したなら、話してくれないかな?」
ゆっくりと結は顔を上げた。焦点が合ってなく、虚ろな目で皆を見た。
雷蔵が聞きたがっているのは分かる。
あの日、夏祭りの日。
どうして姿を消したのか。