第9章 藍色の糸 九
その日の夜、三年は組の食満 留三郎と同室の 善法寺 伊作の部屋に、同じ三年い組、立花 仙蔵と潮江 文次郎の姿と、三年ろ組の、七松 小平太と中在家 長次の姿があった。
食満は今日あった出来事を皆に話した。
長次「…………思い出したのか?」
もそっと小さい声だが、はっきりと長次が言った。
食満「いや、ダメだった」
七松「そのまま思い出してやればよかったじゃないか?」
伊作「いや、無理に思い出さすと、脳に負担が掛かってしまう…」
仙蔵「後少しだな」
潮江「うむ」
伊作「でも案外難しいかも」
潮江「難しい?」
伊作「何か、自分が一番思い出に残ってる事をしたり、何か変化があれば思い出すのかも…」
仙蔵「やはり、一番近くにいた五年生達しかいないか…」
長次「もそ」
七松「結…一体どうして私達を呼んだんだ?」
今日も月明かりがない夜は静かに闇にのまれていった。