第6章 藍色の糸 六
結の浴衣を買いに行ったその日の夜。
長屋で暮らしている同室の竹谷と鉢屋と不破の部屋では、 結を除いた五人が集まっていた。
兵助「今日、 結ちゃんがあの糸を見つけた…」
尾浜「本当!?」
竹谷「その時、 結はどうだった?」
兵助「…『あの時』と同じ顔で笑ってたよ」
五人「…。」
重い空気が五人の中で流れた。
三郎「浴衣もまさか『あの時』と同じ模様であったしな」
雷蔵「見つけた時吃驚したよ」
三郎「どうしても…逢いたかったんだな…」
兵助「でも、本人は…」
竹谷「畜生…!! 何でだよ!!」
悔しそうにドンッと床を叩いた。
その時、スッと扉が開き、目を向けた。
雷蔵「先輩方…」
そこにはオリーブ色のリストバンドを付けた六人が立っていた。
「竹谷、時を待て…」
「本人の目が醒めるまで、我慢しなさい。」
竹谷「俺達は、気付いてるのに…!」
尾浜「そうだよ。ゆっくり、待とう。 結ちゃんが思い出すまで…」
五人と六人の重い空気は深い深い闇に溶けていった。