第5章 藍色の糸 五
結 「…」
糸に見えるがリボンにも見える。案外丈夫そうだ。
「その糸はただの売れ残りの糸だよ」
店員が教えてくれた。
綺麗な藍色をしているのに売れ残りなんて可哀想だ。
結 「これ下さい」
何故だろ。ただの糸なのにとても大事で大切な感じがする。
兵助「 結ちゃん?」
藍色の糸を見つめていたら後ろからいきなり兵助が話しかけた。
兵助「どうしたの?」
結 「売れ残りの糸を買っただけだよ」
ほら、と糸を見せた。
兵助「っ…!!」
一瞬驚いた顔をしたあと、少し歪んだような笑顔をみせた。
兵助「…綺麗な藍色の糸だね」
結 「そうでしょ しかも学年色と同じ色よ」
あははと、笑ったが、兵助はどこか悲しそうな顔をして微笑んだ。